Thursday, November 1, 2012

夢の始まり、夢の終わり

ゴア、旧市街の大聖堂群を見てきた。

















16世紀から腐らないザビエル様の御遺体とも御対面。 

マドラスの聖トーマス教会で感じた、強烈な霊性とも言うべきインパクトは無かった。でも、第二次世界大戦後に全ての植民地を失ったポルトガルが、最後は流血の事態まで起こしてもこの地を保ちたかった理由は判ったような気がした。

この場所は、ポルトガルという老人にとって、熱に浮かされた「若き日々の記憶」。どんなに色あせても、絶対に捨てられない宝物だったんだね。

リスボンのジェロニモ修道院を訪れ、ベレンの塔を見た時に感じた、ポルトガルの夢の始まり。それは、マラッカでもマカオでもなく、このゴアが終着点なのだ。

リスボンの路上で買った、哀愁をおびたファドの曲たちが、なぜか灼熱のゴアで違和感無く、耳に響いた。

歳をとると、今まで空気のように自然に、周りに存在していたものが、一つ一つ、崩れて、消えていく。
その喪失感の巨大さに立ちすくむ日々に、自分という存在の儚さを知ることになる。

アルファマの路地裏で聞いたファドが、自分の心の空白に、何の違和感もなく入り込んだ理由が、今、判った。

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